第4回 重茂公の夫人 ①

関連記事:「市報さが」令和4年7月1日号

今回と次回の2回にわたって、7代佐賀藩主鍋島重茂(しげもち)公のふたりの夫人について紹介したいと思います。今回は1人目の妻、源姫様についてご紹介します。

仙台伊達家からのお嫁入り

源姫様は、仙台藩(現・宮城県仙台市)6代藩主伊達宗村公の娘として生まれました。母は8代将軍徳川吉宗公の養女・利根姫様(実父は紀州藩6代藩主徳川宗直公)。宝暦8年(1758)に重茂公と結婚。3年後の宝暦11年に男児が生まれますが、産後の容体が悪く23歳の若さで亡くなってしまいます。重茂公との結婚生活は5年程でしたが、源姫様ゆかりの品がいくつか徴古館に伝わっています。
次にご紹介する資料はそのひとつです。厨子棚(※1)と呼ばれ、婚礼調度の中では格式の高い調度のひとつです。黒漆塗の地に桜枝を蒔絵し、仙台藩伊達家の家紋である竹に雀紋と雪薄紋とを散らしています。おひなさまの雛壇で見たことがある人も多いかもしれませんが、実物は横約99cm・高さ約80cmと大きく、手箱や香道具・硯箱などを飾る棚として使われていました。


母譲りの婚礼調度

全長192.5cmの大きな和琴。こちらも源姫様の婚礼調度品です。琴の内側には「享保二拾乙卯年九月十一日」の文字があります。享保20年(1735)は源姫様の母・利根姫様が仙台伊達家へ輿入れした年で、その際に誂えられたものと考えられます。その琴を娘の源姫様が受け継ぎ、お嫁入りの時に鍋島家へ持参しました。琴箱の三引両紋は仙台伊達家の紋のひとつです。琴柱箱の畳紙に注目すると、三引両紋の一つが剥落しており、その下には葵紋が描かれていたことが分かります。母から娘へ大切に譲り受けられ、今日まで徴古館に伝来しました。
 

※1 黒漆塗雪薄竹に雀紋桜枝散蒔絵厨子棚(公益財団法人鍋島報效会所蔵)
※2 和琴(黒漆塗三引両散琴箱共)(公益財団法人鍋島報效会所蔵)
※3 黒漆塗三引両散琴箱(畳紙)(公益財団法人鍋島報效会所蔵)

ページ上部へ戻る

トップページへ戻る