今回と次回の2回にわたって、7代佐賀藩主鍋島重茂(しげもち)公のふたりの夫人について紹介したいと思います。今回は1人目の妻、源姫様についてご紹介します。
全長192.5cmの大きな和琴。こちらも源姫様の婚礼調度品です。琴の内側には「享保二拾乙卯年九月十一日」の文字があります。享保20年(1735)は源姫様の母・利根姫様が仙台伊達家へ輿入れした年で、その際に誂えられたものと考えられます。その琴を娘の源姫様が受け継ぎ、お嫁入りの時に鍋島家へ持参しました。琴箱の三引両紋は仙台伊達家の紋のひとつです。琴柱箱の畳紙に注目すると、三引両紋の一つが剥落しており、その下には葵紋が描かれていたことが分かります。母から娘へ大切に譲り受けられ、今日まで徴古館に伝来しました。
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※1 黒漆塗雪薄竹に雀紋桜枝散蒔絵厨子棚(公益財団法人鍋島報效会所蔵)
※2 和琴(黒漆塗三引両散琴箱共)(公益財団法人鍋島報效会所蔵)
※3 黒漆塗三引両散琴箱(畳紙)(公益財団法人鍋島報效会所蔵)